お知らせ



2013年4月5日金曜日

「音風景でつづる家康の散歩道−春の章−」を行いました。

3月31日(日)、「音風景でつづる家康の散歩道−春の章−」を開催しました。
あいにくの小雨模様でしたが、16名の参加があり、浜松観光ボランティアガイドさんとスタッフを合わせると、総勢19名でのサウンドウォークとなりました。

参加年齢は、下は4才から上は何と!82才。そして浜松市内のみならず、西は四日市から東は静岡市にお住まいの方まで広い地域に渡って参加があり、世代間交流、地域間交流の場ともなりました。

p.m.12:30 JR浜松駅に集まってきた参加者の皆さん

集合場所 となったJR浜松駅改札口では、クリップボードに地図、音の記録シート、史跡パンフレットなどを挟んだ「音の取材セット」と名札を配り、他の参加者を待っている間、地図でルートを確認して頂いたり、史跡について予習して頂いたりしました。

また、リピーターの子どもたちには、待っている間を利用して「駅で聞こえた音」を書き出してもらいました。

p.m.12:45、浜松駅からバスで最初の目的地「犀ヶ崖(さいががけ)古戦場」へ。簡単なオリエンテーションのあと、まずは「耳のウォーミングアップ」。耳をすましましながら、皆で崖に沿ってぐるっと一回りしました。車の往来が激しい立地にも関わらず、鳥の声がよく聞こえました。

「秋の章」に参加した子どもたちは、いち早く音風景の違いを発見。谷底から聞こえる水音の方角を指差しながら、「この前は、川は流れてなかったね」と。

この最初の発見が、今回の散策を象徴しているかのようでした。雨も降ったこともあって、いろいろな水音に耳を傾ける1日となったのです。


その後は資料館で、徳川軍と武田軍が戦った三方ヶ原の戦いにまつわるビデオを鑑賞しました。劣勢だった徳川軍は、夜に武田軍の陣営を鉄砲で威嚇。その音に驚いた武田の軍勢は右往左往し、人馬もろともこの崖の谷底に転落したそうです。

その他にも音にまつわるエピソード満載で、これから始まる、「音」からまちの成り立ちを眺め、まちを再発見するための良い導入となりました。

犀ヶ崖古戦場をあとにして、いよいよサウンドウォークに出発。今は遊歩道になっている軽便鉄道跡地に沿って浜松城公園まで、それぞれの地図に聞こえた音を記録しながら歩きました。雨が降り出してきて、ちょっと残念。


遊歩道入り口にて

歩道には桜の花びらが散っていて、とてもきれいでした。やはり桜は散り際に風情がありますね。

途中、暫し立ち止まって、イヤークリーニングを実施。聞こえた音を全部書き出しました。鳥の声、救急車のサイレン、自転車の音、いろいろな音が聞こえました。「サイレンの音をこんなに注意深く聞いたことなかった」との感想が聞かれました。

かつて軽便鉄道の駅があったところでは、「当時の音」を想像してみました。機関車のブレーキ音、車掌さんの声、切符を切る音、人々の話し声、などなど...まちの環境の変化を「音」から探っていきました。

その後、ルートは遊歩道から一時それて普済寺へ。

普済寺のお稲荷さんで
普済寺では、ある参加者が、持参した尺八で演奏を披露する一幕も。史跡を背景に聴く尺八の音色は、より一層風流なものとして、耳に届きました。

普済寺から再び遊歩道に戻るまでは、自分の足音の変化に耳をすまして歩きました。砂地、玉砂利、落ち葉、コンクリートなどなど、様々な「素材」の上を歩いて、いろいろな足音を発見しました。

上の写真は、子どもたちに渡した浜松市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」からの「指令カード」。自分の足音の変化が、ガタガタ、ジャリジャリなどという風に、オノマトペで記入されています。

今回はこのように、子どもたちに随所で指令カードを渡して音を聴く課題を与え、課題を首尾よくこなしたら、ご褒美シールがもらえるという設定にしました。これはなかなか好評でした!(^^)v

人気スポットの一つ、「亀山トンネル」。トンネル内に掲示してある機関車の写真を見ながら、どんな音をたてて走っていたのだろう、こんなに狭かったら、すごい音が響いていただろうね、などとワイワイ、ガヤガヤ...

p.m.2:45、浜松城公園に到着。遠くから花見客の歓声や歌声などが聞こえました。遊歩道はとても静かだったので、一層賑やかに、また騒々しく感じました。春の音は、何となくそわそわと落ち着かない感じがしますね。

公園内のあずま屋では、ここまでの行程で参加者の皆さんそれぞれの地図に書き込んだ音を付箋に書き出し、大きな地図に貼って「音の地図」を完成させました。こんなにたくさんの音を聞いたのですね(^^)  

小鳥のさえずり、川の水音などの自然音の他、足音、人の声、自動車のエンジン音、工事の音などの「生活音」の書き込みがたくさんありました。中には、水滴が地面に落ちる音 を ♬♬ と音符で表現した方もいて、その感性の豊かさに驚きました。その他、「かたかた」「ふさふさ」「ピーピー」というオノマトペによる面白い表現もありました。

音の聞き方は人それぞれ。参加人数が多けれれば多いほど、たくさんの「音の表現」が生まれます。このイベントを通して、参加者の皆さんに様々な「音への気づき」があったこと、嬉しく思います。

その後、浜松城天守閣に登って、高所からの音風景を紙の上にスケッチすることにチャレンジ。自分の周り360°から聞こえた音のイメージを、線や図、絵であらわしていきました。


下の写真は、ある参加者スケッチ作品です。この方は持参た色鉛筆で、いろいろな色使いで「音の様子」を表現していました。


その後は、浜松城をあとにして、最終目的地「東照宮」へ。


ここからは大通りに面したまちなかを通るので、「音風景がどのように変わるか、よく耳をすましてみてください。」といって間もなく、私たちの目の前で、

「キキキーーーードッカーン!」

車同士がぶつかる事故発生! 

まさに、この日一番の印象的な音でした。「こんなに間近で事故を見たのは初めて」「ものすごい音だったね」と、皆さんしばらく呆然としていました。「音」に着目して歩いていただけに、普段にも増してその衝撃的な音に驚くとともに、恐怖、不安、心配など、様々な感情を抱いたようです。

幸い、傷ついたのは車だけで、けが人はありませんでした。参加者の皆さんが巻き込まれなくて本当に良かったです。


ところで東照宮は、今年になって某大学の先生が、二人の天下人、家康と秀吉にゆかりのあるところゆえ史上最強のパワースポットだと全国紙で述べたこともあって、にわかに注目を浴び始めました。そのパワーにあやかろうと、遠くから祈願に訪れる方々も多いとか...
では、何処でそのパワーを感じるのか、皆で探しまわりました。(音には関係ないですが ^^;)


子どもたちは、手水のところには、「いろいろな動物(の彫刻)の目がこちらを見ているのでパワーがもらえそう」「お札がたくさん貼ってある」ので、ここが一番パワーを感じたようです。なるほど!


いろいろな発見があったサウンドウォークも、p.m.4:00 東照宮にて解散。皆様、お疲れさまでした。このあと希望者はスタッフと一緒に、軽便鉄道跡地を経由して、浜松駅方面まで歩きました。


終了後、参加者の皆さんに書いていただいたアンケートには、「自然の音が気持ち良かった」「水音にもいろいろな音がある」「雨だからこそ生まれる音がある」とあり、耳をすましながら歩くこと、音からまちの成り立ちや文化の育みを感じることを新鮮にとらえ、さらには雨の音ですら楽しんでくださったことを嬉しく思いまいました。

また、昨年「秋の章」に参加した子どもの感想文には、「秋とは違う虫の声や鳥の声が聞こえてきて面白かった」と書かれていて、継続して行うことの意義や手応えを感じることができました。

一つのイベントを行うにあたっては、事前準備や当日の運営、終わったあとのフォローなど、たいへんな労力が要りますが、このように皆さんに楽しんでいただけると、「さあ、次は何しようか!」と、また新たな意欲がわいてきます。

始めた当初は何かと戸惑う場面もありましたが、だんだん、こなれてきました。これからもいろいろな企画を考え、「地域におけるサウンド・エデュケーションとは?」を問い続けていきたいと思っています。

なお、当日の様子が静岡新聞の朝刊(2013年4月1日)に掲載されました!
こちら→ をご覧下さい!


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